【徹底解説!】保育園の種類と特徴、選ぶポイントについて
「保育園」は、子育て支援の一環として、働く親たちにとって欠かせない存在です。しかし、保育園には公立・私立、認可・認可外といった種類があり、特性やサービス内容もそれぞれ異なります。
また、小規模保育園や認定こども園、地域保育園、企業主導型保育園など、規模や運営主体によっても特色が変わります。
さらに、保育園と似たような施設である幼稚園との違いも気になるところではないでしょうか。
本記事では、これら保育施設の種類と特徴、そして幼稚園との違いについて詳しく解説します。また、保育園を選ぶ際のポイントや、保育園選びを補助する事業についても触れていきます。
これから保育園選びをする方、保育施設についてもっと知りたい方の参考になれば幸いです。
公立・私立/認可・認可外保育園の特徴と違い
公立保育園と私立保育園の違い
公立保育園は地方自治体が運営する保育施設で、利用料が一定であることが特徴です。
一方、私立保育園は個人や法人が運営する施設で、サービス内容や利用料が多様です。公立保育園は自治体の補助により運営されているため、利用料が安く設定されています。しかし、私立保育園はその多くが自己負担が大きくなる傾向にあります。
認可と認可外保育園の違い
運営体制や補助金の支給、保育料の違いがあります。認可保育園は、地方自治体の監督・指導の下で運営され、国や地方自治体からの補助金が支給されます。そのため、保育料は収入に応じて決まり、比較的安定しています。
また、厳しい基準を満たすことで認可されるため、設備や保育士の資格なども一定の水準を保証されています。
一方、認可外保育園は私立の保育園であり、公的な補助金は受けられません。そのため、保育料は比較的高めになる傾向があります。
しかし、自由な経営が可能なため、独自の教育方針を打ち出したり、英語教育などの特別なプログラムを提供することが可能です。
小規模保育園ってなに?長所と問題点を深堀り!
小規模保育園とは、19人以下の子どもを対象としている保育園を指します。
小規模保育園の長所
小規模保育園の最大の長所は、その規模の小ささからくる一人ひとりへのきめ細かい対応と、家庭的な環境が挙げられます。
長所となるポイントは以下の通りです。
- 子供一人ひとりに対する保育士の配慮が行き届きやすい
- 子どもたちはたくさんの人間関係と向き合うことなく、より深い人間関係を築くことができる。
- 親と保育者間のコミュニケーションが密
- 乳児(0歳〜2歳)に特化しており、小規模ならではの専門的な保育環境
- アットホームな雰囲気
- 一人ひとり丁寧に目が向けられるので、個別の成長・発達が捉えられる
- 異年齢児との交流が出来る
小規模保育園の問題点
小規模保育園にはいくつかの問題点も存在します。最も気になる点が、小規模保育園は制度上、5歳まで利用できますが、実際は対応する施設が少なく、2歳児クラスまでの施設が多いことです。
3歳児クラスでは保育園や幼稚園、こども園など他の施設へと転園する必要があります。 中には保育園や幼稚園に優先的に入れる「連携施設」を指定する小規模保育園もありますが、連携施設がないケースも少なくありません。その他、主な問題点は以下の通りです。
- 2歳児クラスまでの在籍となるため、3歳からは連携施設に転園するか、再度保活が必要になるケースが出てくる
- 規模が小さいため、多様な設備やプログラムを提供することが難しい場合がある
- 教育スタッフの数が限られているため、一部のスタッフが欠勤した場合には保育の質が影響を受ける可能性がある
- 開放的な大きな遊び場を持つ大規模保育園と比べると、施設のスペースが限られているため、子どもたちが思い切り体を動かす機会が少なくなる可能性がある
- 園庭がないことが多く、代わりに公園に行く場合は距離が遠いと事故などのリスクがある
- 園児数が少ないので行事の盛り上がりに欠ける
- 地域によっては待機児童が多い一方で、利用者が少ない地域では閉園の危機に直面することもある
小規模保育園は、その規模の小ささが長所でもあり、問題点でもあります。それぞれの家庭のニーズに合わせて、長所と問題点を理解した上で、自分の子どもにとって最善の環境を選ぶことが重要です。
その他にはどんな保育施設がある?
認定こども園
保育園と幼稚園の良いところを取り入れた新しいタイプの保育施設です。長時間の保育にも対応しています。教育と保育を一体的に行うことが特徴で、幼稚園教諭と保育士の二人が一緒に子どもたちの育成に当たります。
また、一日の過ごし方も保育園と幼稚園のいいところを組み合わせているため、子どもたちが自然と学びの場を広げられる環境を提供しています。
地域保育園
地域コミュニティや地元企業が協力して運営する保育施設で、自治体やNPOなどが運営しています。地域の子育て支援を目的としているため、地域の人々とのつながりを大切にしながら子どもたちを育てていきます。
また子育てセミナーや親子イベントなども開催したりと、地域の人々とのつながりを深めることで、子どもたちが地域に根ざした育ちを促します。その他にも一時預かりや夜間保育、休日保育など、働く親を支えるための柔軟な対応が可能なことが特徴です。
企業主導型保育園
企業が運営する保育園で、その企業の従業員が優先的に子どもを預けることができます。これにより、保育園と職場が近いことから、仕事と育児の両立がしやすくなるというメリットがあります。
社員の福利厚生の一環として設けられているため、社員が働きやすい環境を提供することが目指されています。
一般的に、企業主導型保育園は企業や商業施設の中や近くに設置され、その企業や団体の従業員をはじめ、地域の子どもたちも利用することができます。
企業主導型保育園の特徴としては、開園時間が長い、土日祝日や夜間も対応している、企業が運営しているため安定した運営体制があるなどが挙げられます。
以上のように、保育園には様々な種類があり、それぞれの保育園が持つ特色や強みを理解することで、自分のライフスタイルや子どもの性格、成長のペースに合った保育園を選ぶことが大切です。
保育園と幼稚園の違い
保育園と幼稚園は、多くの人にとってはほぼ同じものと捉えられがちですが、実はその運営主体や教育内容、開園時間などには大きな違いがあります。
まず最も大きな違いは、保育園が厚生労働省の管轄で、幼稚園が文部科学省の管轄であるという点です。これは保育園が「保育」という観点から子ども達の保護と育成を目指し、幼稚園が「教育」という観点から子ども達の学習意欲や社会性を育むことを目指しているためです。
幼稚園は都道府県が認可した「公立幼稚園」と、学校法人や社会福祉法人が運営する「私立幼稚園」があり、3歳から5歳を対象に子どもを預かります。幼稚園によっては延長保育や、夏休みや冬休みの長期休暇時に保育を行い、教育時間外での預かりを受け入れている園もあるようです。
また、保育園は基本的に0歳から5歳までの子どもを対象としており、全日制で、保護者が仕事などで子どもを預けることができます。一方、幼稚園は3歳から小学校就学前の子どもを対象とし、基本的には半日制であり、教育的な要素が強いです。
さらに、保育園は年中無休で開園しているところが多く、夜間や休日も子どもを預けることができます。これに対して幼稚園は基本的には平日のみの開園で、長期休暇も設けられています。
学習の違い
保育園では、子どもたちが日々の生活を通して自然に学ぶ「生活経験学習」を重視しています。一方、幼稚園では、子どもたちが集団生活を通じて協調性や社会性を学ぶ「集団生活学習」を重視しています。
これらの違いからも、保育園が「保育」を、幼稚園が「教育」を重視していることが分かります。
給食の有無・給食費
保育園と幼稚園の違いとして、給食の有無や給食費についても触れておきましょう。
多くの保育園では、給食を提供しており、その費用は保育料に含まれています。これは、保育園が保護者の働きやすさを重視しているため、給食の準備を保護者から肩代わりすることで、保護者の負担を軽減する狙いがあります。
給食費は主食費と副食費の2種類があり、内閣府は子供一人当たりの給食費を一律に定めており、主食費が月3,000円、副食費が4,500円としています。3~5歳児クラスの場合、主食費は実費で、副食費は保育料に含めて払います。
幼稚園では、家庭で作ったお弁当を持ってくることが一般的で給食の提供は園によります。給食が提供される幼稚園では、給食費が別途必要となることが多いです。
また、給食のない幼稚園では、お弁当を持参することが一般的です。
これにより、幼稚園は自己管理能力を育む一環として、食事の準備を家庭で行う機会を提供しているといえます。
教育・文化の違い
文化の違いも、保育園と幼稚園の差異の一つです。保育園では、子どもたちが自由に遊び、探求心を育む環境が提供されています。一方、幼稚園では、より学校に近い形での教育が行われます。
例えば、一日のスケジュールが厳格に決まっていたり、制服を着用したりすることが一般的です。
これらの違いは、子どもの個性や成長のペース、親の働き方や教育方針によって、どちらが適しているかが変わるため、一概にどちらが良いとは言えません。
活動の違い
保育園の活動内容は、主に遊びを通じた学習が中心で、生活習慣の形成や社会性を育むことに重きを置いています。例えば、季節の行事を通じて季節感を学んだり、集団生活を通じて協調性やルールを理解したりします。
一方、幼稚園では、より具体的な学習内容が設定されています。
例えば、基本的な読み書きや計算の指導、英語教育、音楽や体育などの特別活動が行われます。また、幼稚園では年長組になると、小学校入学に向けての準備も始まります。これには、教科書を使った学習や通学バッグの準備などが含まれます。
以上、保育園と幼稚園の主な違いをまとめました。保育園も幼稚園も、それぞれに特性と長所があり、子どもの性格や成長、保護者のライフスタイルや働き方によって選択するべき施設は変わるかもしれません。
大切なのは、自分の子どもにとって最も適した環境を選ぶことです。そのためには、保育園と幼稚園の違いを理解し、自分の子どもにとって何が必要かを考えてみましょう。
【事前準備:見学前に】~保育園の選び方6つのポイント~
保育園の種類、幼稚園との違いを説明しましたが、保育園選びの際に注目すべき6つのポイントをご紹介します。見学をされる前に、普段の保育園の様子を見るため、気になる保育園の周辺を散策し事前リサーチすることがおすすめです。
また保育園のホームページをよく見て、園の保育方針、教育内容、保育時間など事前に情報収集すると見学がスムーズになります。
これから保育園選びを始める方、保活・見学をそろそろ始めたいと考えている方は、ぜひ以下ポイントを参考にしてみてください。
(1)保育方針
保育園ごとに教育方針や保育のスタイルが異なるため、自身の子育て観と合致するかどうかを確認しましょう。保育園によっては、音楽や英語、体操などのプログラムを持っているところもあります。
子どもの興味や成長に合わせて、教育内容に注目して選びましょう。
(2)保育時間と保育料
働く保護者にとっては、保育時間が長く、休日や夜間も対応している保育園が便利です。しかし、子どもの成長に合わせて半日制の保育を希望する場合もあるでしょう。自身のライフスタイルと照らし合わせて選びましょう。
また保育料は家計に大きく影響します。公立と私立で保育料に差があるため、予算に合わせて選びましょう。
(3)立地条件・アクセス
通園するにあたり、自宅からの距離や通勤・通学路との兼ね合いも重要です。便利な立地の保育園を選ぶと、毎日の送り迎えもスムーズになります。緊急時の対応も考え、住まいや職場から近い場所にある園を選ぶと良いでしょう。
実際に保育園までのルートを確認し、徒歩になるのか、自転車、車、あるいは公共交通機関を利用するのかなどもチェックポイントです。
(4)施設の状況
遊具や教材、トイレの状態など、施設の設備もチェックポイントです。子どもが安心して健康に過ごせる環境かどうか、清潔で安全な環境が整っているか確認しましょう。例えば、園舎や遊具は新しいか、古いか。遊び場は広いか、狭いか。園舎の状況や設備が子どもの安全に直結します。
また、遊び場の広さは子どもが十分に運動できるかどうかに影響します。保育園見学の際は、施設の状況をしっかりと確認しましょう。
(5)保育士の質と数
子どもたちと密接に接する保育士の質は、保育園選びにおける重要なポイントです。また、保育士一人あたりの子どもの数も大切で、少ないほど一人一人の子どもに手厚い保育ができます。
(6)口コミや評判
実際に園に通った親御さんの声を聞くことで、園の良し悪しを知ることができます。インターネット上にも口コミ情報がありますが、それらを参考にする際は情報が古くないか、偏った意見でないか注意が必要です。
さらに、保育園のホームページも見てみましょう。保育園の理念や教育方針、日々の保育の様子などが掲載されています。また、保育園がどのような行事を行っているか、年間スケジュールが掲載されている場合もあります。
以上の6つのポイントを押さえて保育園選びをすることで、子どもにとって最良の環境を選ぶことができるでしょう。
実際に保活を始めて、保育園見学をされる際は、記事の保活で後悔しない!保育園見学ポイントを徹底解説【見学チェックシートあり!】より、ぜひ詳細をご覧ください。
保育園の選択を補助する事業
保育園の選択を補助するさまざまな事業が存在します。これらを利用することで、保育園選びがよりスムーズに、そして適切な選択ができるようになるでしょう。
区や市が行っている保育園選びの支援事業
区や市では、保育園を選ぶ上での様々な支援事業を行っています。たとえば、保育園の情報をまとめたパンフレットの配布や、保育園見学の機会の提供、保育園の入園手続きの支援などがあります。
また、一部の自治体では、子育て世代への情報提供を目的としたウェブサイトを運営しているところもあります。これらの情報をうまく活用することで、自分の希望に合った保育園を見つける手助けとなるでしょう。
内閣府の子育て支援事業の活用方法
内閣府では子育て家庭を支援するための様々な事業を展開しています。例えば、「子ども・子育て支援新制度」では、子育てに関する各種情報を一元的に提供するポータルサイトを開設しています。
ここでは、保育園の空き情報や保育料の計算、地域の子育て支援サービスなど、保育園選びに必要な情報を手に入れることができます。
参照:こども家庭庁「子ども・子育て支援制度」
まとめ
保育園選びは、子どもの幸せな成長を願う親としての大切な役割の一つです。選び方や始めるタイミング、空き状況といった情報を把握しながら、最適な保育園を見つけることを目指しましょう。
それぞれの保育園の特色やサービス内容、教育方針などを比較し、子どもにとって最良の環境を提供できる保育園を選びましょう。
子育ては長い道のりですが、その一歩目となる保育園選びに、ぜひこの記事がお役に立てれば幸いです。